八門日記 2026-03-23 朝刊
現在の相場位置
2026年3月23日(月)寄付前。日経225先物は51,065円で推移しており、前週末の現物終値52,774円、先物終値53,373円から大幅なギャップダウンとなっています。
先物ベースで見ると、前週末比 約▲2,300円(▲4.3%)という週明けの大幅安気配です。注目すべきは、直近20日安値51,408円をすでに下回っている点で、約1ヶ月ぶりの安値圏に突入しています。キリ番の51,000円が目前に迫り、ここを割り込めば50,000円の大台が次の心理的節目として意識されます。
25日移動平均線は55,949円。現在値との乖離は約▲8.7%に達しており、短期的な売られ過ぎの水準に近づきつつあります。ただし、地政学リスクが主因の下落局面ではテクニカル指標が機能しにくいことには留意が必要です。
前日の振り返り
先週の日経平均は5日続落となり、3月21日(金)の現物終値は52,774円(前日比▲216円、▲0.41%)でした。週間では53,820円→53,373円(先物ベース)と▲0.83%の下落、3週連続の下落となっています。
先週の値動きを振り返ると:
- 週前半: 日米首脳会談(3月19日)は友好ムードで終了し、高市首相が「ほぼ無傷で乗り切った」と発言。関税問題の即時悪化は回避されたものの、積極的な買い材料にはなりませんでした
- 週後半: イスラエル・イラン間の軍事的緊張が段階的にエスカレート。ブレント原油は109ドル付近まで上昇し、企業業績への悪影響が懸念されました
- 週末: トランプ大統領がイランに対し「48時間以内にホルムズ海峡を完全開放しなければ発電所を攻撃・破壊する」と最後通牒を発出。さらにイランがイスラエル南部の核施設付近に長距離ミサイルを発射したとの報道が伝わり、リスクオフが一段と加速しました
この週末の地政学リスクの急激な高まりが、本日の先物大幅ギャップダウンの直接的な原因です。
本日の展望
本日の焦点は明確です。イラン・ホルムズ海峡情勢の行方、そして原油価格の動向。この2点に尽きます。
市場の予想レンジとして、一部では今週49,500〜55,500円という広いレンジが示されています。これは裏を返せば、どちらにも大きく振れ得る不確実性の高さを意味しています。
本日の展開としては以下のシナリオを想定しています:
メインシナリオ(確率55%):51,000円を挟んだ攻防
- 寄付で大幅安となるものの、51,000円のキリ番付近では一定の押し目買いが入る
- ただしイラン情勢の続報次第で戻り売りに押され、終日不安定な展開
- 想定レンジ:50,500〜51,800円
リスクシナリオ(確率30%):50,000円割れ
- トランプ大統領の48時間最後通牒の期限到来(3月23日中)で、実際に軍事行動に踏み切る、あるいはイラン側がさらなるエスカレーションに出た場合
- WTI原油が110ドルを明確に超え、パニック売りに発展
- 想定レンジ:49,000〜50,500円
楽観シナリオ(確率15%):急速な巻き戻し
- イラン側が海峡開放に応じる、あるいは外交的妥協の兆しが見えた場合
- 売り方の買い戻しが入り、52,000円台まで急反発
- ただし、地政学リスクが根本的に解消されない限り、戻りは限定的と見ています
なお、今週は3月末の権利確定を控えており、高配当銘柄への配当取り需要が一定の下支え要因として機能する可能性もあります。
順張りシグナル(外国人フロー分析)
外国人投資家の直近週のフローは▲17,726億円の大幅売り越しです。52週累積では+165,771億円と依然として買い越し基調ですが、直近の売り圧力は極めて強いと言えます。
8週後リターン相関は0.14と弱く、フローの方向性だけで相場の先行きを判断するのは困難です。ただし、順張りシグナルは「LONG」を示しています。これは52週累積ベースの長期トレンドを反映したものであり、短期的な売り越しと長期的な買い越しトレンドが乖離している状態です。
私の見方としては、外国人投資家の大幅売り越しは地政学リスクへの防衛的ポジション調整と考えています。リスクが後退した局面では、累積フローの方向に回帰する可能性がありますが、現時点でフローを根拠に買い向かうのは時期尚早でしょう。
逆張りシグナル(信用倍率分析)
1570 ETFの信用倍率は19.92倍(3月19日時点)。パーセンタイルは90%と、過去の分布の中でも極めて買い残が多い水準です。
これは個人投資家が下落局面で逆張り買いを続けてきた結果であり、潜在的な売り圧力として機能します。本日のような大幅ギャップダウンでは、追証(マージンコール)に伴う投げ売りが発生するリスクも意識すべきです。
信用倍率19.92倍という水準は、市場のセンチメントが「強欲」(買い残過多)を示しており、逆張り的には弱気シグナルです。週末の地政学リスク急拡大と組み合わせると、個人投資家のポジション整理(損切り)が月曜寄付で集中する可能性があり、寄付直後の下方オーバーシュートに注意が必要です。
オプション建玉からの示唆
コール建玉134,903枚に対し、プット建玉218,575枚。P/C比率は1.62と、プット優位の偏った構成になっています。
ATM(53,373円)から現在の先物水準(51,065円)まですでに2,300円以上下落しており、プットの売り手にとってはデルタヘッジの売りが必要となる水準です。この機械的な先物売りが、下落を加速させるガンマ効果として現れる可能性があります。
特に50,000円の大台にはまとまったプット建玉が存在すると推測され、ここを割り込む場合はさらなるデルタヘッジ売りが雪崩を打つ展開も否定できません。
一方で、P/C比率1.62という高水準は、市場参加者が下方リスクを強く警戒していることを示しています。全員が同じ方向を見ている時には逆に動くこともありますが、地政学リスクという外生的要因が主導している以上、テクニカルなコントラリアンアプローチが機能するかは不透明です。
本日の一言
ホルムズ海峡の緊張が相場の主役——冷静にデータを見る日こそ、市場の真価が問われる。
※本記事は市場動向の分析であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
参考情報源
- 日経平均、週明け急落必至 3週続落 イラン情勢で企業業績リスク
- トランプ大統領、イランに48時間以内のホルムズ海峡開放を最後通牒
- イスラエル、イランのエネルギー施設に攻撃しない方針 — 米の批判受け
- 日米首脳会談、高市首相「ほぼ無傷で乗り切った」
- 日経平均5.3万円攻防か 米株続落と原油110ドルで下押し圧力
※投資判断は自己責任でお願いいたします。